アウトドア派が好むスポーツは何でしょうか。ボートやカヌー、バイクを使ってアウトドアを行くスポーツでしょうか。それとも、探検やトレッキング!? いずれにせよ、そこに“自然との会話”は欠かせません。究極ともいえる「トレイルラン」をご存じですか?
足場が悪いのは当たり前。効率よく走るの知恵が求められます
女性の参加者も近年増えています
森の中を遥か先まで続く上り坂。野性動物と遭遇することも
アウトドア雑誌を見ればわかるように、カヌーやカヤック、ラフティングなどの川や海系の遊びがあります。トレッキングやハイキング、ロッククライミングなどの山系の遊びもあります。
ホースライディングや犬ぞりなどの動物と一緒に楽しむ方法もあります。
また、スイミングとバイク、ランニングを合わせたトライアスロンのようなスポーツもあります。
スキーやスノーボード、山スキー、スノーシューなどの冬系スポーツもあります。
さらに、スポーツとはいえませんが、写真撮影や天体観測もある意味ではアウトドアならではの遊びです。
アウトドアのスポーツは無限です。何を選択するかはその人の自由。最初に大きな投資をしなくても、レンタル用具などでさまざまなスポーツにトライして、気に入ったのならその用具を購入すればいいでしょう。
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これら多くのスポーツや遊びに共通するのは大自然です。川の流れを読めれば効率よくカヌーで進めるでしょう。
天候が読めなければトレッキングや低山ハイキングでも危険な目に遭うことがあります。
新雪の状況が理解できれば快適なスキーができるでしょうが、山を知らなければ雪崩に遭うかもしれません。
アウトドアスポーツの基本は大自然との会話だと思うのです。
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近年、「トレイルラン」が脚光を浴びています。
簡単に言えば都会型ランニングではなく、自然派ランニングということになるでしょうか。いつも走っている自宅の周囲の道やランニング専用ルートを離れて、自然の中を走ってみるのです。
たとえば、いつも走るランニングロードの脇の川岸の土手を走ってみるとどうでしょう。予期せぬ石や自然にできた溝、木の根っこなどがあるかもしれません。
最初は戸惑うでしょうし、走りにくいはずです。でも、徐々に慣れてくれば、一歩一歩を瞬間的に判断して蹴り出し、危険を回避しながらバランスを取って走るランニング方法に楽しさを見い出すでしょう。
やがて、トレイルランニング用のシューズを手に入れて、山道に繰り出す自分がいたりして…。
トレイルランは自然と対話しながら行うランニングです。状況を瞬時に見極め、自分の総力で自然の中を走る。究極のアウトドアスポーツの一つといえるでしょう。
過酷な運動を求められるトレイルラン。転倒によって脚部にキズができたランナーも目立ちました
短いコースのものから、100km近いコースのもの。100マイル(約160km)を24時間以内に駆けなければいけないハードな大会まで、さまざまなトレイルランが開催されています。
最初は自分自身でトレーニングを積んで、短いコースの大会から出場すればいいでしょう。
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先日、編集室は木曽の山中を行くトレイルランを見学しに行きました。
短いコースもあったのですが、最長はまさに100マイルコース。24時間以内での完走を目指します。
しかも、走るのは街中ではありません。山の中です。街灯などありません。同じ24時間でもライトに照らされた道とは勝手が違います。
編集室が見たのは120km地点を過ぎたあたりの山道でした。
スタートした参加者は180人ほどだったのですが、この地点になると半分以上の人が脱落しています。ところどころに設けられたチェックポイントを規定の時間以内に通過できずにレース中止となる参加者もいます。
120kmを過ぎた地点ともなると、集団で走る光景はほとんど見られませんでした。ランナー一人ひとりの間が5分、10分とずいぶん空いているのです。
背負っている小さなリュックの中にはレインウエアや水分、軽食などが入っています。また、手にストックを握り、ノルディックウォーキングの要領で進んでいる参加者もいます。
ルートの中には舗装道路、未舗装道路、山道、急な上り、下りとあらゆる状況が出てきます。
集団から離れたランナーは孤独です。森の音と、自身の足音、息の音しか聞こえません。100km以上走っているのですから、目がうつろな参加者もいます。
都市部だったら次から次へと異なるビルが現れるでしょう。列車が走っていたり、景色が大きく変わる可能性もあります。
しかし、この160kmはどこをとっても森の中。時折、森が切れて青空が広がる程度。
もう一度書きます。ランナーは大自然の中で孤独です。
時折吹く山の風がランナーを癒す数少ない要素。あとは恨めしいほどに続く山道が待っています。
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チェックポイントを決められた時間以内に通過するのが大事
トレイルラン歴5年の神奈川・阿部雅彦さんに聞いてみました。
「何も考えない時間が多いですね」と、開口一番。「考えるよりは、ルートを見ながら一歩ずつ足を出すことが大事なんです」と言う。やはり、山道や自然と一体になった感覚なのでしょう。
ゴール後に思うことも話してくれました。
「自己新記録が出せた時は、うれしくて絶叫し、誰かに会いたくなります。そして、余韻にひたる。泣けることもあります。でも、タイムが普通の時は静かに自分を褒める。ダメダメな時はレースを忘れてすぐに呑みに行きます」。
これが素直なゴール後の感想なのでしょう。
それから、もうひとつ話してくれました。
「走っている最中にゴールしたら、ビールを飲もうといったことも、数分に一度くらいは考えます!」
アウトドアで飲むビールは格別です。それが好きでキャンプを行っている人も少なくありません。な~んだ、やはりその後のビールが楽しみな部分もあるんだなと、なんだか安堵した気持ちに編集スタッフがなったもの事実です。
【おまけ動画 山道を行く孤独なランナーたち】
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究極ともいえるアウトドアスポーツのトレイルラン。長期的な視野をもって始めてみませんか?
トレイルランを実際に見学した編集スタッフは、来年の気候のいい時期に短距離コースから参加すべく準備を開始しました。アウトドアで最高のビールが味わえるに違いありません。
●トレイルランの装備を知るのなら
http://yamahack.com/19
●トレイルランイベントや情報が満載
http://www.trailrunners.jp/
●日本RV協会
http://www.jrva.com/
●オートキャンプの情報ならこちらへ
社団法人 日本オートキャンプ協会
http://www.autocamp.or.jp/
< PROFILE >
浜口昭宏
雑誌やWEB編集を始めて数年の編集者。超がつくほどのアウトドア初心者だったが、猛勉強をしてそれなりに成長。アウトドアの中で大好きなシチュエーションは、ビールがおいしいBBQ。
浜口昭宏
雑誌やWEB編集を始めて数年の編集者。超がつくほどのアウトドア初心者だったが、猛勉強をしてそれなりに成長。アウトドアの中で大好きなシチュエーションは、ビールがおいしいBBQ。