カメラレンズの大きさに任せてそのままシャッターを押す。アマチュアの方にありがちな撮影方法です。そこで、「切り取り術」を覚えましょう。今回の講座は建造物を使って切り取り術をアドバイス。壁紙プレゼント、写真コンテスト情報もお見逃しなく。
日本の各地に点在する、ちょっとレトロな西洋風の街並みや建築物。その生い立ちはさまざまですが、現在も歴史的資産として大切に保存され、観光資源として活用されています。
ドライブルートでも必ず一度は見たことがあるはず! そんな建物の“シャレた”雰囲気を引き出すには、いかに切り取るかが大切です! 早速その狙い方を紹介していきたいと思います。
ドライブルートでも必ず一度は見たことがあるはず! そんな建物の“シャレた”雰囲気を引き出すには、いかに切り取るかが大切です! 早速その狙い方を紹介していきたいと思います。
横浜の山手地区にある洋館です。天候は曇りで条件としては今ひとつですが、そんなときこそ、どこから撮るかが重要なポイントになります。
写真Aは建物の真ん前の正面から捉えたもの、写真B/写真Cはそれぞれ、建物から少し離れた植え込みに咲いていた花を間に挟んで撮影したものです。
一目瞭然で、写真B/写真Cは花が手前に入ったことで彩りが加わり、華やかな雰囲気になりました。とくに写真Cは近くにあった白い椅子も入れたため、ガーデン風な印象に仕上がりました。
写真Aは建物の真ん前の正面から捉えたもの、写真B/写真Cはそれぞれ、建物から少し離れた植え込みに咲いていた花を間に挟んで撮影したものです。
一目瞭然で、写真B/写真Cは花が手前に入ったことで彩りが加わり、華やかな雰囲気になりました。とくに写真Cは近くにあった白い椅子も入れたため、ガーデン風な印象に仕上がりました。
写真A
写真B
写真C
群馬県沼田市にある洋館です。
狙っている建物の切り取り方によって、明るい雰囲気にするのか、あえて暗いイメージで仕上げるのかが変わってきます。
この場面では+2.7補正した写真E(写真Dは-1.3補正)のほうが明るく開放的で、オシャレなイメージに近づいたと思います。
後出の写真Hのように影を生かす場面では暗めにすることもあります。
狙っている建物の切り取り方によって、明るい雰囲気にするのか、あえて暗いイメージで仕上げるのかが変わってきます。
この場面では+2.7補正した写真E(写真Dは-1.3補正)のほうが明るく開放的で、オシャレなイメージに近づいたと思います。
後出の写真Hのように影を生かす場面では暗めにすることもあります。
写真D
写真E
西洋風の街並みや建物を撮る場合、建物すべてをきっちりフレーム内に収める必要はありません。むしろどの位置から、どの部分を、何ミリくらい(焦点距離)のレンズで撮影するとよりイメージが膨らむのか、試行錯誤してみることが大切です。
写真は札幌の時計台です。周囲の情景まで入れようと広角で撮影して間延びした写真Fよりも、やや望遠気味に時計台部分だけを切り取った写真Gのほうが雰囲気が出ていると思います。
写真は札幌の時計台です。周囲の情景まで入れようと広角で撮影して間延びした写真Fよりも、やや望遠気味に時計台部分だけを切り取った写真Gのほうが雰囲気が出ていると思います。
写真F
写真G
西洋風の建物はそれだけでもフォトジェニックですが、それだけではもったいないと思います。より“美しく”もっと“オシャレ”に見せるために意識したいのが「光と陰」と「映り込み」です。
写真Hは建物に映った「光と陰」が煉瓦造りの建物の色合いをよりいっそう引き立たせてくれています。
写真Iは有名な小樽運河の倉庫街ですが、この場所が有名になるのは建物のみならず運河の水面に映る建物とのコラボレーションが美しいからにほかなりません。もし、小樽のように運河がなくとも、雨の日には路面が濡れるので、そこに映った風景はとてもフォトジェニックになることでしょう。
ぜひ、撮影の際にチャンスがあれば意識してほしいポイントです。
写真Hは建物に映った「光と陰」が煉瓦造りの建物の色合いをよりいっそう引き立たせてくれています。
写真Iは有名な小樽運河の倉庫街ですが、この場所が有名になるのは建物のみならず運河の水面に映る建物とのコラボレーションが美しいからにほかなりません。もし、小樽のように運河がなくとも、雨の日には路面が濡れるので、そこに映った風景はとてもフォトジェニックになることでしょう。
ぜひ、撮影の際にチャンスがあれば意識してほしいポイントです。
写真H
写真I
慣れてきたら、街並みや建物の全体を写すだけではなく、その一部分だけを狙ってみましょう。周りの余分な情景を排除することで、もっとフォトジェニックに、より個性的な写真になっていきます。
私個人としては、街を歩きながら“ウィンドウ”を眺めるようにしています。
花が飾られた窓越しの風景(写真J)や、写真Kのように灯りの付いたオシャレな窓枠そのものを背景に、手前にある鉢植えなどを狙うといった感じです。
私個人としては、街を歩きながら“ウィンドウ”を眺めるようにしています。
花が飾られた窓越しの風景(写真J)や、写真Kのように灯りの付いたオシャレな窓枠そのものを背景に、手前にある鉢植えなどを狙うといった感じです。
写真J
写真K
今回は、西洋風の歴史的建造物のある街並みや建物そのものを撮影する際のポイントをまとめてみました。
今回に限った話ではないですが、私が撮影の際に大切に思っているのは“なり切る”ことです。自分がその街に実際にいるかのような気持ちになって、オシャレな街を切り取ってみましょう。
今回に限った話ではないですが、私が撮影の際に大切に思っているのは“なり切る”ことです。自分がその街に実際にいるかのような気持ちになって、オシャレな街を切り取ってみましょう。
写真L
< PROFILE >
こし のぶゆき
1968年神奈川県生まれ。カメラ専門誌や旅雑誌の撮影・取材を行なう傍ら、「メルヘン」をテーマに全国の駅を撮影し、雑誌などに作品を発表している。公益社団法人日本写真家協会会員、日本旅行写真家協会理事。
こし のぶゆき
1968年神奈川県生まれ。カメラ専門誌や旅雑誌の撮影・取材を行なう傍ら、「メルヘン」をテーマに全国の駅を撮影し、雑誌などに作品を発表している。公益社団法人日本写真家協会会員、日本旅行写真家協会理事。
東京・旧古河庭園にて
●日本の近代遺産50選
www.adnet.jp/nikkei/kindai/bnum.html
日本経済新聞社が運営するウェブサイトのコンテンツの一つに、「日本の近代遺産50選」があります。
明治維新以降、産業、土木、交通などに関する建築物、構造物などが建設され、それが今日でも“遺産”として保存されています。
このコンテンツは日本経済新聞社が独自の視点で明治以降の歴史ある遺産から50カ所を選び出したものです。夕刊で毎週連載されて評判になりました。ネット版では探訪余話が加えられています。
北海道・旧日本銀行小樽支店、東京・旧古河庭園、京都・梅小路蒸気機関車庫、大阪・綿業会館、岡山・大原美術館、福岡・門司港駅舎など撮影のしがいのある建造物が選出されています。
株式会社すてきなじかんが運営する辻本珈琲が企画した写真コンテストです。
雨あがりのひとときは、まるでコーヒーでくつろぐ時のようなすてきな時間。応募資格は「コーヒーがお好きな人ならだれでも」。
雨あがりのじかんにまつわる200~800字程度のコラムと、雨あがりのじかんをイメージした写真を募集しています。
応募期間 :
2018年7月15日(梅雨が明けるころ)
応募形態 :
インスタグラムで投稿。応募要領にある辻本珈琲のアドレスをフォローのうえ、ハッシュタグを付けて投稿
賞品など :
ベスト雨あがり賞/イタリア製高級傘と防水スプレー 1名
芸術賞/GROUND大谷氏が手がけるハーバリューム 1名
辻本珈琲賞A/カリタ ナイスカットG アイボリー 1名ほか
芸術賞/GROUND大谷氏が手がけるハーバリューム 1名
辻本珈琲賞A/カリタ ナイスカットG アイボリー 1名ほか
編集スタッフが取材ででかけたときに、その合間に撮影した写真でよろしければ…。という主旨の「壁紙プレゼント」コーナーです。
一足早く、海の景色をお届けします。前号に引き続き、ベトナムのホイアン、チャム島で撮影した写真です。(※撮影/篠遠 泉)
一足早く、海の景色をお届けします。前号に引き続き、ベトナムのホイアン、チャム島で撮影した写真です。(※撮影/篠遠 泉)
< 著者PROFILE >
構成と写真
岩崎幸則
東京都生まれ。雑誌編集などを経てカメラ&ライターになる。現在は旅行雑誌、企業会報誌などに執筆。プロレス観戦が趣味。
構成と写真
岩崎幸則
東京都生まれ。雑誌編集などを経てカメラ&ライターになる。現在は旅行雑誌、企業会報誌などに執筆。プロレス観戦が趣味。