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会津若松から今市宿へ続く会津西街道(下野街道)は、日光街道に繋がり江戸まで通じていた。会津藩が参勤交代で利用する重要な街道だったが、現在は国道118号に代わり整備されている。この道は、芦ノ牧温泉や湯野上温泉が点在する温泉街道でもある。
阿賀川沿いの高台にある芦ノ牧温泉

一軒宿の様相の仙峡閣

湯量豊富な自噴泉が注ぎ込まれる

立ち湯の底から湯が湧き出す

露天風呂でゆったりとしたひとときを

会津 芦ノ牧温泉 仙峡閣
●住所:福島県会津若松市芦ノ牧温泉
●泉質:カルシウム・ナトリウム・硫酸塩・塩化物温泉、pH7.6
●源泉温度:48.7度 湧出量:47.6ℓ/分
●宿泊1泊2食1万950円~(日帰り:11時~13時30分、要問合せ)
TEL:0242-92-2026


幕末に起きたさまざまな物語の主役になった会津藩。その拠点だった会津若松の鶴ヶ城は2011年に幕末時代の赤瓦をまとった姿に修復された。周囲には古い街並みや酒蔵なども残り、城下町風情を今に残している。

会津若松を振り出しに、その昔、会津藩藩主が参勤交代で江戸に出るために使った旧会津西街道、現在の国道118号は立ち寄りどころが多い。
会津若松をスタートすると、約12kmで阿賀川を見下ろす芦ノ牧温泉に着く。芦ノ牧温泉からさらに13km走れば湯野上温泉。湯野上温泉で国道を離れると6kmで、江戸後期の建物が保存された会津若松から2番目の会津西街道宿場町・大内宿に至る。

温泉と昔の宿場町がそのまま残り、街道筋にも名所が多い会津西街道は、一度は訪ねてみたいエリアだろう。

会津若松からは国道に並行して会津鉄道線も通っているが、実は芦ノ牧温泉駅で下車しても、芦ノ牧温泉の宿泊施設が連なるエリアまでは4km以上の道程が残る。
駅からさらに国道を南下し、阿賀川にかかる巨大な橋を渡るときに右側を見れば、川沿いの高台に温泉ホテルや旅館を目にすることができるのだ。

かつては川沿いに温泉施設があったのだが、洪水の被害が続くために戦後に高台へ移転した。

最盛期に比べると減ったが、芦ノ牧温泉には観光協会に加盟している温泉宿泊施設が10軒ある。
観光協会のホームページはなかなかよくできており、シンプルでわかりやすいマークによって、それぞれの宿の特徴がわかる。
たとえば、源泉かけ流しの湯船をもつのか、露天風呂があるのか、日帰り湯を受け入れているのか。子どもや障がいのある方に対応しているのかなどがひと目で確認できるのだ。

芦ノ牧温泉の歴史は古く、1200年前に奈良から旅の修行を始めた僧侶によって発見されたという伝説が残る。また、戦国時代に活躍した会津蘆名氏(芦名氏)の所有する馬の放牧場だったために「芦ノ牧」という地名になったという説もある。
ただし、正確には江戸時代に栄えた会津西街道とは離れているために、明治時代までは地元の人のみが知る湯だったようだ。

泉質は弱アルカリ性低張性高温泉など。湯温が高く、湯量にも恵まれているために、昔から子宝祈願のために訪れる人も多かった。温泉地内には「子宝の湯 金精神社」があり、そこには御利益があるとされる足湯も設けられている。

高温で湯量も十分な芦ノ牧温泉では、数カ所で湧く湯を集めてから、それぞれの温泉施設に給湯するシステムを用いている。そのなかで、一軒だけ独自の源泉をもつ宿があった。

「仙峡閣」は会津若松から国道を来て、ほかのほとんどの宿が国道右側に位置するのに対して左側にある。阿賀川の絶壁の上に建つ一軒宿だ。
福島の板倉神社にあった明治35年建築の武徳殿を移築。内装を整備して心地よく滞在できるように工夫されている。
最大の特徴は前述した自噴泉だ。絶壁の上の高台にあるために、その日の湯量などによって、湯船まで自噴の湯がのぼってくることもあれば、動力を用いて上げることもあるとご主人が言う。
どちらにせよ、ボーリングによって湧いた湯ではない、自噴の湯が湯船にたっぷりとたまるのだ。

拙著『ぶくぶく自噴泉めぐり 改訂新版(山と渓谷社刊)』の取材の際におじゃましている。その時は湯量も多く、こんこんと湯船の底から湧き上がってくる湯が見られた。
いいのは湯だけではない。館内の雰囲気も落ち着くし、川を見下ろす景観もなかなかだ。仙峡閣を自信をもって読者に紹介しようと考えたのだが、この取材には後日談がある。
数日後に、「日によっては動力を使うこともあるので、湯船の中に常時湧き上がってくるという“ぶくぶく自噴泉”と呼ぶにはどうかと…」という電話がかかってきたのだ。
筆者はご主人といろいろ話をして、掲載を見合わせるという判断を下した。
日本秘湯を守る会の会員の宿であり、部屋数13部屋と小規模ながら充実した施設をもつ宿を紹介できなかったのは、非常に残念だったのを鮮明に覚えている。
しかし、現状を正直に話してくれたご主人に、その人柄のよさを感じ、ますます素敵な宿だなと思ったのも事実である。

湯量の具合で湯船まで一気に自噴することもある仙峡閣の湯。
旧会津西街道に近い温泉のなかでも、特別な湯船がここにある。日帰り入浴も可能だが、ゆったりと1日を過ごすのに相応しい。

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東北自動車道利用で白河ICから国道289号経由で白河ICから約70分。白河ICから羽鳥湖経由で白河ICから約60分。磐越自動車道会津若松ICから国道121号、118号経由で約50分。
< PROFILE >
篠遠 泉
出版社勤務時はスポーツやアウトドア、旅関連ムックの編集長を務める。山と溪谷社より共著で『温泉遺産の旅 奇跡の湯 ぶくぶく自噴泉めぐり』『ぶくぶく自噴泉めぐり 改訂新版』を上梓。旅雑誌などに連載中。
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