2011年の東日本大震災において福島県いわき市は甚大な被害に遭いました。大きな揺れと津波によって名所や観光スポットも元の姿を失いました。それから8年。いわき市のマリンエリアは復興し、日本三古泉の一つであるいわき湯本温泉も賑わいを取り戻しています。
共同浴場「さはこの湯」と温泉街
由緒ある温泉神社
鶴のあし湯広場
雨情の宿 新つたの露天風呂
いわき湯本温泉旅館協同組合
●住所:福島県いわき市常磐湯本町三函
●泉質:含硫黄-ナトリウム-塩化物・硫酸塩温泉(低張性弱アルカリ性高温泉) pH7.86
●湧出量:5104ℓ/分
●源泉温度:58.3度
●宿泊&日帰り:各施設ごとにさまざまなプランを設定
TEL:0246-43-3017
●住所:福島県いわき市常磐湯本町三函
●泉質:含硫黄-ナトリウム-塩化物・硫酸塩温泉(低張性弱アルカリ性高温泉) pH7.86
●湧出量:5104ℓ/分
●源泉温度:58.3度
●宿泊&日帰り:各施設ごとにさまざまなプランを設定
TEL:0246-43-3017
【温泉むすめ情報】
いわき あろは
いつもウクレレを鳴らしてフラダンスを踊っているむすめ。温泉のおかげで白く透明感のある肌をしている。みんなを盛り上げるのが好きなハワイアンガール。
いわき あろは
いつもウクレレを鳴らしてフラダンスを踊っているむすめ。温泉のおかげで白く透明感のある肌をしている。みんなを盛り上げるのが好きなハワイアンガール。
「日本三古泉」と呼ばれる温泉地がある。
一つは愛媛の道後温泉。もう一つは兵庫の有馬温泉。そして「三箱の御湯」と呼ばれるいわき湯本温泉だ。
いわき湯本の古来の地名は「佐波古」だった。927年、延喜式神名帳に「陸奥国磐城郡温泉神社」が選上され、その時から地名は「三箱」となった。
以降、「三箱」から「三函」と変わったが、「三箱の御湯」と呼ばれるのは昔の地名に由来する。
ご多分に漏れず、歴史ある温泉地には伝承される物語がある。
前回紹介した、同じく福島県の磐梯熱海温泉には「都より訪ねた姫」の物語があった。一方、こちらには生き物伝説が残っている。
鶴が発見した、クマがキズを癒やしていたなどの類いで、温泉地の発見にはおなじみの話ではあるが…。
☆
ふたりの旅人が佐波古の里を訪れると、キズついた丹頂鶴が温泉に浸かっていました。
鶴に情けをもった旅人たちは、鶴のキズ口を温泉でていねいに洗ってあげました。
鶴はすぐに元気になり、どこかに飛び立っていきました。
数日後のことです。
気品あふれた美女が訪ねてきて、巻物を旅人たちに託しました。
そこには、「佐波古の御湯をふたりで開いて、天寿を全うし、子孫繁栄をはかるべし」と記されていました。
ふたりはさっそく湯本温泉を開湯し、以降、その温泉は多くの人々を癒やし続けることになりました。
☆
千年以上も愛用されている大きな要素に、そのすぐれた“泉質”があげられるだろう。
いわき湯本温泉の泉質は含硫黄-ナトリウム-塩化物・硫酸塩温泉(低張性弱アルカリ性高温泉)。
日本でいちばん多い泉質は単純温泉。次いで塩化物泉だが、この泉質は全国でも珍しい。
効能はいくつもあるが、高齢者にも女性にも最適だ。たとえば、美肌作用、解毒作用、血圧を低下して動脈硬化や高血圧への対処などが期待できる。
保温効果が高いのも一つの特徴だ。
先日、筆者は久しぶりにいわき市を訪ねた。
岡倉天心が北茨城に建造した五浦六角堂(ここも大震災で流されて復興した)を見物してからいわき市のマリンエリアに出た。
ここには「環境水族館 アクアマリンふくしま」がある。
この水族館は実によくできており、福島の川の上流、湧き水地帯、中流、下流を段階的に展示する。もちろん、大水槽があったり、カワウソやトドなども見学できるし、各種体験も可能なので、当然見学には時間を要す。意識しなくてもずいぶん歩くことになる。
アクアマリンふくしまからいわき湯本温泉まではクルマで20分ほどだ。
1日北茨城といわき市の海風吹くエリアをまわった後に、いわき湯本温泉が抜群にいい。身体の芯まで温まる。
完全放流式を用いているために、地下50mで湧いた湯が地下のパイプを経由して、各所の湯船に注ぎ込まれる。だから、どこの湯に入っても貴重な泉質を楽しめるのだ。
現在、いわき湯本温泉旅館協同組合に所属している温泉宿泊施設は21軒ある。これだけの宿があるのだから、湯船などにも特徴がある。日帰り入浴営業をしている宿も多い。
マリンエリアから直行して温泉に入ってから帰路につくこともできるのだ。
もちろん、宿泊すればいわき市が誇る海の幸の数々やブランド和牛が食卓に並べられる。
歴史ある特別な湯と、福島のおいしいもの…。素敵な温泉ドライブができること間違いない。
東京から常磐自動車道を利用して三郷JCTから167kmでいわき湯本ICへ。ICから約4kmで温泉街に着く。東北自動車道郡山JCTから磐越自動車道を経由していわきJCTで常磐自動車道のルートもある。
< PROFILE >
篠遠 泉
出版社勤務時はスポーツやアウトドア、旅関連ムックの編集長を務める。山と溪谷社より共著で『温泉遺産の旅 奇跡の湯 ぶくぶく自噴泉めぐり』『ぶくぶく自噴泉めぐり 改訂新版』を上梓。旅雑誌などに連載中。
篠遠 泉
出版社勤務時はスポーツやアウトドア、旅関連ムックの編集長を務める。山と溪谷社より共著で『温泉遺産の旅 奇跡の湯 ぶくぶく自噴泉めぐり』『ぶくぶく自噴泉めぐり 改訂新版』を上梓。旅雑誌などに連載中。