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名物は“カニ”と外湯巡り。兵庫県の日本海に近いところに位置する城崎温泉は、首都圏に住む人には馴染みが薄い温泉地かもしれません。でも、関西の人々にとっては何度でもリピートしたい人気の温泉地なのです。
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川の辺をゆかたで散策
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木造三階建て旅館が風情を醸し出す
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志賀直哉が逗留した三木屋
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外湯「御所の湯」
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足湯や飲泉所も街中にある
城崎温泉
●住所:兵庫県豊岡市城崎温泉湯島357-1
●泉質:ナトリウム・カルシウム-塩化物・高温泉
●源泉温度:42度
●宿泊:きのさき温泉観光協会公式サイトに掲載される72軒の宿でさまざまなプランを展開
●日帰り:1日ぐるっと、入り放題 外湯めぐり券/1200円
TEL:0796-32-3663
●住所:兵庫県豊岡市城崎温泉湯島357-1
●泉質:ナトリウム・カルシウム-塩化物・高温泉
●源泉温度:42度
●宿泊:きのさき温泉観光協会公式サイトに掲載される72軒の宿でさまざまなプランを展開
●日帰り:1日ぐるっと、入り放題 外湯めぐり券/1200円
TEL:0796-32-3663
【温泉むすめ情報】
温泉むすめ 城崎亜莉咲(きのさきありさ)
いつもツンケンしていて生意気だが、本当は純粋で心優しい地元が大好きなツンデレむすめ。有馬姉妹を何かとライバル視している。
温泉むすめ 城崎亜莉咲(きのさきありさ)
いつもツンケンしていて生意気だが、本当は純粋で心優しい地元が大好きなツンデレむすめ。有馬姉妹を何かとライバル視している。
城崎温泉の開湯は720年前後、すでに1000年以上の長い歴史をもつ。多くの古湯と同様、「コウノトリがキズを癒やしていた」のが、その起源である。
道智上人が修行のおりに見つけ、開山した温泉寺は以降、城崎温泉の中心に位置する。
歴史があるだけに、新撰組に追われた桂小五郎が逃げ込んだという説も残る。明治時代以降は文豪や文化人に愛され、志賀直哉は旅館三木屋に逗留して執筆、『城の崎にて』を発表した。
☆
城崎温泉を散策すると、あることに気づく。温泉街の中心に佇む旅館は、古風な木造三階建てが多いのだ。
現在なら消防法などの関係で、木造三階建てはなかなか建てられない。しかし、城崎温泉の中心部に位置するほとんどの建物がそうなのだ。
「大正末期に震災による大火があって、町の大部分は焼失してしまいました。その後に復興されたのですが、その時に建ったのが木造三階建てだったのです」と、三國屋の大旦那が教えてくれた。
☆
震災と大火は建物を一新すると同時に、温泉施設も変えた。震災後に掘削した温泉を内湯として提供する宿が登場したのだ。
今なら普通のことだろう。しかし、それまでの城崎温泉は、旅館に内湯はなく、“外湯”に出向くのが流儀だった。
内湯問題が起きて後、集中管理の基に各旅館にも温泉を供給することとなったのだ。
☆
当然、各旅館は内湯を新設する。だが、このままでは城崎温泉の文化である外湯が廃れてしまう。
そこで、内湯の規模を制限して、旅館宿泊者には全外湯の入湯料を免除するという方法を採用する。
これが城崎温泉で“外湯めぐり”が定着し、城崎温泉が人気になった秘密でもある。
☆
「さとの湯」「地蔵湯」「柳湯」「一の湯」「御所の湯」「まんだら湯」「鴻湯」の七つの外湯と湯飲場、足湯などがある城崎温泉。正装はゆかたと下駄だ。旅館にチェックインしたら、浴衣に着替えて下駄を履いて街に出るのが相応しい。
城崎温泉では昔から、「宿は客間、道は廊下」という観点で、来訪者をもてなしてきた。客間に荷を置き浴衣に着替え、廊下を歩き、どこかの風呂場に行くのは自然のことである。
大火後に建った木造三階建ての規模はどこもそれほど大きくない。まさに、客間といえる存在だ。
☆
さまざまな旅行関連サイトで「日本の人気温泉地ランキング」を検索してみる。
楽天トラベル2019では圏外から20位に。じゃらんのサイトでは11位、日本旅行のサイトは10位。
トップ5には箱根温泉、草津温泉、熱海温泉、別府温泉といった全国的に知名度の高い温泉地が入る。城崎温泉ももちろん知名度はあるのだが、首都圏の人々がわざわざでかけるにはアクセスの面で少々やっかいだ。
首都圏からの来訪者が限られる場所でありながら、上位に入るのは、それだけの魅力を秘めていることの証拠だろう。
☆
筆者は以前、城崎温泉の若旦那衆と城崎温泉の小さな飲み屋で席を共にしたことがある。
前述した三木屋、三國屋に加え、但馬屋、つばきのなどの人気旅館の若旦那が集まってくれた。
彼らの話に耳を傾けると、いかに城崎温泉を考えているかがわかる。
たとえば、外湯文化をどのように保つか。ゆかた歩きの定着など話題は尽きない。
「ミスゆかたコンテスト」の開催やホームページ上に「ゆかたの着こなし辞典」のコンテンツを入れるアイデア。
散策中に雨が降ってきたとしても傘が共有できる「みんなの傘」の実施…。
若旦那衆の斬新なアイデアと、城崎温泉を長く支えてきた人たちが融合して始まったものは数知れない。
そして、もっともいいのは若い人が活発に意見を言える環境が城崎温泉にあることだろう。
☆
代々受け継がれてきた外湯と、現在では貴重な木造三階建ての旅館。そして、それを支える先駆者と若い力。
冬期の名物である新鮮なカニをはじめ、通年で味わえる日本海の幸。
これらすべてがミックスされて城崎温泉は独特の雰囲気をもつ魅惑の温泉地になっている。
☆
『ミシュラン・グリーンガイド・ジャポン』改訂第3版において、城崎温泉は二つ星に輝いた。
それは、日本人だけでなく、外国人にとっても日本の温泉の魅力が堪能できることの現れだろう。
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大阪方面より中国道→吉川JCT→舞鶴若狭道→春日JCT→北近畿豊岡道経由で日高神鍋高原ICを降りて豊岡を経て城崎温泉、約3時間30分。岡山方面から来る場合は山陽道→山陽姫路東IC→播但道→和田山JCT→北近畿豊岡道経由で日高神鍋高原ICを降りて豊岡を経て城崎温泉、約3時間。
< PROFILE >
篠遠 泉
出版社勤務時はスポーツやアウトドア、旅関連ムックの編集長を務める。山と溪谷社より共著で『温泉遺産の旅 奇跡の湯 ぶくぶく自噴泉めぐり』『ぶくぶく自噴泉めぐり 改訂新版』を上梓。旅雑誌などに連載中。
篠遠 泉
出版社勤務時はスポーツやアウトドア、旅関連ムックの編集長を務める。山と溪谷社より共著で『温泉遺産の旅 奇跡の湯 ぶくぶく自噴泉めぐり』『ぶくぶく自噴泉めぐり 改訂新版』を上梓。旅雑誌などに連載中。